息子 カテゴリーのアーカイブ

断乳か投薬か―高熱・扁桃腺で悩む母乳育児中のお母さま方へ

2008/12/03 水曜日 - 23:56:10 by Administrator

うちには0歳児がいる。
月齢で約7ヶ月(当時)。
母乳で育てていたが、母親が扁桃腺を腫らせ、高熱を出した。
最終的にはクラビットを投与しながら授乳して、危機から脱した。
何かのお役に立てるかもしれないので、この道程を記録しておく。

その医者は簡単に「5日間授乳を止めてこの薬を飲みなさい」と言った。
これでうちの奥さんは参ってしまった。
飲めるわけが無い。
5日も授乳を止めたら、出なくなる。
つまり、薬を飲むということは、断乳を意味する。
薬は飲み始めたら一定期間続け、菌を殺しきらないと、むしろ菌が強くなり、悪化する。
だから、今回のクラビットならば最低でも5日は飲む必要がある。
でも、その間に母乳は与えられない。
母乳を経由してクラビットが乳児に流れるというのだ。
いわゆる「母乳移行」というやつだ。
そこで、耳鼻咽喉科の、恐らく視野狭窄に近いドクターは、簡単に言ってのけた。
恐らくこんな三段論法だ。
1.母親を治すにはクラビットが要る
2.クラビットは授乳中に処方してはならない
3.だから授乳を止めて5日間クラビットを飲め
5日授乳を止めることの意味や、家族に与える影響など、全くわかっていないのだろう。
いや、頭ではわかっていても、感情で、情緒で、わかっていない。
いわゆる“頭のいいひと”なのかもしれない。
そして、うちの奥さんは飲まなかった。
扁桃腺を腫らして、咳をして、高熱を出しても、飲まずに授乳を続けた。
視野狭窄なドクターのお陰である。
これが「先生」と呼ばれる方の仕打ちか。
その燦々たる母子の姿を見て、心から嘆いた。
しかたなく、医者を変えた。
同じ総合病院内だが内科に変えた。
そして、事情を話した。
今度の先生はリスクの取れる先生だった。
授乳を前提にクラビットを処方した。
小生にも納得のゆく結論だった。
しかし、次なる強敵が現れた。
リスクの取れない処方薬局だ。
教科書通り、重要事項を説明した。
その言葉に、奥さんは戸惑った。
「クラビット処方中は授乳はしないで下さい」
無理も無い。
「リスクの取れない処方薬局」とは、実は言い過ぎなのだ。
実際には「リスクの取れない厚生省・製薬会社」なのだ。
もちろんその先には「リスクの取れない国民」がいるのであって、小生もその一人であることは認識している。
理由は、大分大学のDrug Information News 183 (pdf)でわかる。
まず、厚労省や製薬会社が「添付文書」なるものを出している。
なじみがなければ「はぁ?何に添付した文書やねん?」という感じだろう。
本当に心からネーミング・センスを疑う。
まぁ、厚労省だ。多めに見よう。
添付文書についてはOCNが親切だ。
OCN WOMAN|JuicyStyle ジューシースタイル 恋愛・結婚・恋人・友達・ウエディング情報 -心と体のキレイ相談
まぁ、つまり、製薬会社や厚労省が薬物服用上の注意事項などを記載した文章ということになる。
(ちなみにこことかで添付文書を検索できたりする。)
ここで大分大のDrug Information News 183 (pdf)に戻ってみる。
すると「クラビット 回避」とP.10の表中にある。
「回避」の一番上の行には「添付文書上の記載」とあるだろう。
そう、つまり、製薬会社の出した「添付文書」上では、「回避」となっているのだ。
なお、「回避」についてはP.11の表の下に「授乳を避けること」と解説されている。
これが処方薬局に「クラビット処方中は授乳はしないで下さい」と言わしめた原因だ。
うちの奥さんは処方薬局に「先生はクラビットを飲んでも授乳してよいと言っていた」旨伝えた。
薬局はすぐにドクターに確認した。
リスクの取れる内科のドクターはここでもひるまず「OK」と答えてくれた。
無茶な、先生なのだろうか。
否。
ここでまた、大分大のDrug Information News 183 (pdf)に戻ってみる。
P.10の表の上に「授乳中に使用しても問題ないとされる薬剤の代表例-添付文書との比較」と記載がある。
そう、「添付文書」上は「回避」でも「授乳中に使用しても問題ないとされる」のだ。
さて、「問題ないとされる」とあるが、誰がそう言っているのだろうか?
そう、P.6に「米国小児科学会」とある。
さて、以上をまとめると、つまり、大分大学はこの文章で医師たちに以下を伝えている。
【3】Q&A 授乳婦と薬物治療
日本では、乳児への影響を気にしすぎるあまりに必要以上に母乳を中止する傾向があります。また、日本の添付文書は安全性を重視しているためそのほとんどに「授乳を中止させる」等の記載があります。母親に投与されたほとんどの薬剤は母乳中に分泌されますが、実際に母乳を飲ませても乳児に問題にならない薬がほとんどです。
今回、米国小児科学会(AAP ; American Academy of Pediatrics)の使用基準、国立成育医療センターの作成した「授乳中に使用しても問題ないとされる薬剤の代表例」の表を参考に、いくつかの表を掲載していますので、参考にしてください。
これを信じるか否かはあなた次第。
さて、うちの結論だが、まず、ネットで色々と検索していくうちに、大分大学のpdfの内容に一理ありそうだと思った。
例えば、ここにも、小児内科の先生が書いてくださってる。
授乳中の薬|AskDoctors(アスクドクターズ)
もちろん、日米の文化の違いはあるだろう。
向こうはそもそも国民がリスクを取るお国柄というのもあるし、母乳回帰・母乳重視の志向も強いようだ。
でも日本ではリスクはなるべく回避だ。
母乳育児より0.00・・・x%のリスク回避だ。
しかし、うちはそんな状況ではなかった。
母親は扁桃腺を腫らして高熱を出しているにもかかわらず、授乳を諦める様子は全く無い。
その頑固さは呆れを通り越し、誇りにさえ感じる程だった。
もうこうなっては授乳と投薬の両立を図るしかない。
そこで、リスクって具体的に何なの?何で添付資料には「回避」とあるの?という疑問を晴らすことにした。
感染症内科:妊娠初期にクラビットを服用してしまいました。:インターネット医科大学:@niftyには、
①幼若ラットおよび幼若イヌでの実験では、関節軟骨病変等の関節毒性が報告
②培養細胞等を用いた実験では、遺伝子突然変異を示したという報告があります。
とあった。これがリスクの具体例だ。
でも前後をよく読むと
①催奇形性に関する明らかな報告はないと思います。
②関節毒性が報告されていますが、これは、出生後に投与が行われた場合の話です。
③動物実験及びヒトでの投与では催奇形性等については証明されてはいません。

とあった。またクラビット錠/クラビット細粒にも
動物実験[幼若犬、若い成犬 (13か月齢)、幼若ラット]で関節異常が認められている。
ともあったので、概ね上記がリスクの全容だろう。
ポイントは①ヒトではない、②母乳移行ではなく投与による、③関節異常、ということになろう。
母乳移行は少量との他の記載も踏まえれば、取れないリスクでもない、そう判断した。
もちろん「リスクを取る」とはそう簡単なことではない。
将来息子の関節に何かあれば、その時は思わず悔やんでしまうかもしれないが、絶対に立ち止まらず、全力でその回復に向けて前進を続けなければならないと心に刻んだ。
それがその時点での精一杯だった。
そして、再び大分大のDrug Information News 183 (pdf)に戻ると、こうあった。
・母乳は乳房中にあらかじめ蓄積されておらず、大半は授乳時に作られるため授乳時の母体血中濃度に影響する。血中濃度のピークは、静脈内投与では投与直後、筋肉内投与では30分~1時間後、経口投与では1~3時間後となる薬剤が多く、この時間帯を避けるほうがよい。
そこで、薬を飲んでから4時間は空けることをルールとした。
もちろん飲み始めたら5日間は絶対に飲み続ける前提だ。
例えば、夜21時に飲んだら、夜中1時までは母乳は飲ませない。
それまで、どんなに息子が泣こうが、わめこうが、抱っことミルクとで乗り越える。
朝昼晩の食後に薬を飲み、4時間空けてから授乳。
これを約一週間続け、母親は回復に向かった…。
さて、いよいよ、今度はあなたがリスクを取る番かもしれません。
①病気をこじらせますか?
②授乳を止めますか?
③薬を飲みますか?
風邪は万病の元、と言いますから①だけは選択しないで下さい。
あれから約1ヶ月。
息子は、ハイハイとつかまり立ちを次々にマスターしようとしている…。
【その他の参考サイト】
 たまごママネット/薬の母乳への影響
 カケハシ小児科医院 小児科
【謝辞】
 末筆ながら、重要な情報を開示して下さっていた大分大学や、リスクを取ってネット上に意見を書いてくださっていた多くの先生方に、深く御礼申し上げます。

ありがとう。

2008/03/27 木曜日 - 22:28:08 by ryoki

 ありがとう。―――昨年2月、結婚式で2人から、両親と家族、そして2人を支え祝福してくれた皆様に贈った言葉―――平成20年3月27日、今日はお互いに、そして新しく家族に加わった息子に、心から贈ることが出来た。

 家に着いたとたん、帰り道にこらえていた涙が、わっとあふれ出た。なんで嬉しいのに、こんなに泣けるのだろう。
息子が頭から出てきて、肩が見えて、取り出されて、泣き出したとき、本当に興奮した。それまで激痛で曇っていた妻の顔が、一瞬にして晴れた。もう、それまでのことは完全に忘れてしまっているようだ。妻と目が合うと、目頭が熱くなった。彼女の目からも涙が溢れ出てきた。「よく頑張ったね」と声をかけるのが精一杯。それ以上言うと、涙が止まらなくなってしまいそうだ。
 思い出すと、今でも興奮する。しかし、帰り道に目頭を熱くさせていたのは、実は、その場面ではなかった。
息子は臍の緒の処理等を終えた後、しばらく妻の横に寝かせられた。少しして落ち着くと、後の処理があるということで、私は外に出された。お義母さんと外で待つこと1時間以上。呼ばれてLDRに入ると、もう息子は別の部屋に移されていた。僕は妻と目が合うと、まるで1年ぶりの再会かのように、彼女に引き寄せられた。そして互いに互いを励まし、讃えあった。
 考えてみると、お互い普段は奥手な方で、あんなに素直に、自然に、お互いを讃えあったのは初めてじゃなかろうか。とても素晴らしい体験だ。そして、今も、これを書いているこの瞬間も、目頭を熱くさせているのは、妻のこの言葉だ。
2人で生んだね
 もうこれ以上何も要らない。飾る言葉も一切要らない。
 ありがとう。息子と妻に贈る。